まずは、さいしょのいっぽ
※パラレル、幼馴染設定。








「シズちゃんシズちゃん、これどう思う?」

ぱさりと音を立てて目の前に差し出された雑誌に静雄は目をやる。
指差された先を確認して頷く。

「…まあいいんじゃねぇか」
「じゃ、これにする」

横においてあったパソコンを弄る細い指先を眺め、静雄は溜息をついた。

「…まあいいか」

複雑なことを考えようとした脳味噌に停止命令を出して、呟きに顔を上げた臨也を抱き寄せる。
不満の声を上げる幼馴染のその独特な色合いの目が睨み付けてきた。
無視すれば、がぶりと指に噛み付いてくる。
それをあやしながら、さらなる暴挙に出る前に抱き締める腕に少し力をこめれば呻き声。
抗議の声が耳元で聞こえるが、静雄はあくまで無視した。

まあいいか。

今日から始まる同居生活に浮かれているのは何も臨也だけではないのだから。












同棲同居生活が始まった日。まだ何もない部屋でふたり。