※折原兄妹。シズイザ前提?









「おっじゃましま〜す」

勝手に作った合鍵で中に入り込んだ双子に。
しかし出迎えの言葉はなく、静寂が部屋を満たしていた。

「あれ?留守かな?」
「…静…」

首を傾げるが、やはり返る言葉はない。

「イザ兄〜?いないの〜?」

返事はなくとも、いまさらじゃあと帰る気は二人にはなくて。
勝手に上がりこんで、事務所を兼ねるリビングへと向かう。
そして、ソファの上。目的の人物のものと思わしき黒髪を見つけて近寄って。

「あれ?」
「…寝…?」
「みたいだね。起きないとか珍しいね」
「…疲?」
「かも」

目を閉じて、安らかな寝息を立てる臨也に、二人は顔を見合わせた。
それから、同時に同じことを思いつく。

「イザ兄お疲れみたいだね」
「肯」
「だったらさ」

きらきらと目を輝かせる片割れに、クルリはこくりと頷いた。
考えていることは一緒だった。

「…添?」
「うんうん!そうしようよ!」

昔みたいに!とはしゃぐマイル。
彼女は、きっと目を覚ました兄は驚くだろうとその表情を想像し、にんまりと兄とよく似た笑みを浮かべる。

「でもソファだとちょっと狭いよね」
「…狭…」
「ま、いいよね!イザ兄にくっついてれば」
「乗」
「あはは、それ何かちょっとヒワイだねー」

小声で話しながら、二人はソファに上がって臨也に抱きつく。
ほとんど乗っかるような体勢であるにも関わらず、それでも目を覚まさない辺り。どうやら彼女たちの兄はそうとう疲れているらしい。

「あ、キスマーク発見」
「…赤…」
「静雄さんかなー?」
「…妬」
「うん。そうだね」

クルリの言葉に、マイルも静雄さんばっかりずるいよね、と呟いて。
今だけは自分たちのものだとの主張を込めて。
二人はぎゅうっと臨也を抱き締めて、目を閉じた。



夢見の悪さに目を覚ました臨也が、狭いソファで妹二人に押し潰されている事実に気付くまで、あと――












※何だかんだ言って仲が良い兄妹だといいです。

ほのぼの…はどこだ…みたいな状態に…。この兄妹でほのぼのは意外に難しいということが分かったので早々に路線変更になりました。ごめんなさい。
ネタ提供ありがとうございました!

(mobile版拍手お礼その26 10.11.30初出)