実はけっこうビビリです。
※クロネコ設定。お掃除ロボが我が家に来たよ記念(笑)









ぶわっとしっぽの毛が膨らむ。
それを見てしまった静雄は、一瞬呆けてそれからついつい吹き出してしまった。
動き回る掃除ロボ――ちなみに幽にもらったものだ――と鉢合わせた臨也は、しっぽを膨らませたまま硬直している。
おそらく猫型であったなら全身の毛が逆立っていたことだろう。

「臨也、別にそいつは襲ってきたりしないぞ」
「そ、そんなの分かってるし、別に、怖くなんかないからね!」

全然説得力がない台詞を吐いて。
それでも、視線は臨也の足に当たって方向転換したそれに固定したままだ。

「………」

そろそろと足を動かして、静雄の方に移動してくる臨也。
あくまで視線は掃除ロボに固定だ。
そこまでビビるものか?と首を傾げ、静雄は臨也を呼ぶ。

「俺、あの音嫌いなんだよ」
「音って…掃除機の音か?」

その割には自分で掃除機をかけるくせに?
そう疑問に思ったのが伝わったのだろう。
臨也は「あれはいいの。俺が自分で動かしてるんだし」と文句を言う。

「人間ってああいうの好きだよね」
「ああいうの?」
「自動で動くのとか、そういう便利なの」
「あー…まあ、そうかもな」

たぶん全自動洗濯機とかそういうものを指しているのだろう。確かにな、と思う。
「科学だなんだって言って楽することばかり覚えちゃってさぁ…」
ぼやく臨也は、自分もその恩恵に預かる生活をしていることは棚上げなようだ。
………。
臨也が何が何を言いたいのか、何の言い訳をしているのか分かっている静雄はただただ呆れた視線を投げかける。

「なあ、臨也。つまりお前さ」
「なにかなシズちゃん?」
「つまりお前って―――」
「っ」

アレが怖いんだよな?と言おうとした言葉は、臨也にしがみつかれたことで中断した。
また掃除ロボがこちらにやって来たせいだ。
しがみついたまま硬直し、尻尾をぶわりと盛大に膨らませた臨也に。
静雄は、やっぱ怖いんじゃねぇかよ。と呟いたのだった。



ちなみに。
その後、臨也が掃除ロボに慣れるまで一週間ほど似たような光景が見られたらしい。












※うちの猫の反応は色々でした。一番ビビリなヤツは掃除ロボがドックに帰るまで出て来なかったです。

(mobile版拍手お礼その22 10.10.27初出)