※静+臨+新。









……。
………。
…………。

沈黙を続ける静雄に。
新羅は盛大に迷惑そうな溜息をついた。

「静雄、ちょっとあっちに行かないかい?」
「…………」

問いかけに返ってきたのは重い沈黙。
…重傷である。

「静雄、そんな顔で見てても臨也がよくなる訳じゃないし、むしろ悪化しそうだしさ」
「…………」

やはり沈黙。
落ち込みに落ち込んだ彼に、もはや新羅にはかける言葉が見つけられなかった。
落ち込み暗い顔をした静雄の前。
患者用のベッドの上には、臨也は眠っていた。
点滴をしている彼の顔色はかなり悪い。

「…具合悪いところに追い打ちとか、臨也ってやっぱり日頃の行いが悪いんだね」

その言葉にピクリと反応した静雄を見て。
新羅はやれやれと首を振る。
後悔するくらいなら最初からやらなければいいのだ。

「ねぇ静雄、いつもの臨也なら避けられてるとか、そんなことは問題じゃないんだよ?」
「………分かってる」

具合がかなり悪いから今から行くと臨也から連絡があったのはほんの数時間前。
その後なかなか来ない臨也に焦れて電話をしたら、出たのは静雄だった。
酷く慌てた声で「ノミ蟲が死んじまう」と叫ばれて。
新羅は溜息まじりに、とにかく連れて来てと言ったのだった。

「まぁ、今回は倒れた直接の原因は熱が上がったことみたいだから、点滴して大人しくしてれば大丈夫だと思うけどね」
「………」

しかし、全身で落ち込んでいることを表す静雄は、鬱陶しいことこの上ない。
鬱々とした空気が此方にまで伝染しそうで、新羅は重い溜息をついて「セルティ、早く帰ってこないかなぁ」と呟いた。

「とにかく、僕はこれからやることがあるから、そのまま臨也を見てるんなら後はよろしくね」
「………分かった」
「じゃ、何かあったら呼んでよ」

部屋から出て行く新羅の姿を目で追って。
静雄は、「悪いな」とその背中に声をかける。
構わないよ、と返事をして、新羅はタヌキ寝入りを続ける男のいる部屋を出た。



「……臨也」
「…あのさぁ、べつに、しずちゃんが悪いわけじゃないんだから、そこまで落ち込まないでくれないかなぁ」
「………起きてたのか」
「意識はずっとあったよ。ちょっと、動けなくて目が開けられなかっただけ」

そう言って、うっすら目を開けた臨也が静雄を見る。
顔色はまだ真っ白なままで、かなり辛そうだ。

「ねぇ、しずちゃん」
「…なんだ」
「君ってさぁ…何考えてるのさ」
「?」
「あのままさー…放っておけば良かったのに」

放っておけるわけねぇだろうが。そう思って。
ぎりっと奥歯を噛み締めて、静雄は大きく息を吐き出した。
皮肉気な笑みを浮かべて文句を言う新羅の顔がチラつく。
分かっている。
何かある度にこんな思いをするくらいならば、いい加減、はっきりさせるべきなのだ。
大きく、今度は息を吸い込んで。
静雄は意を決して口を開く。



「なぁ、臨也――」












※Let's告白タイム(雰囲気台無し)

新羅を出すとシズイザより新羅が話してる時間が長い罠…。
提供して頂いたネタから若干ずれた内容になるのは(新羅の四字熟語がないのも)もはやお約束のようです(汗)
ネタ提供して下さった方、ありがとうございました!
(mobile版拍手お礼その21 10.10.27初出)