「やあマイスイートハニー」
※お題『組込課題・台詞』より。シズイザ小ネタ。ぐだぐだです。









その日、二人が出会ったのはまったくもって偶然だった。
臨也は仕事で、静雄は仕事帰りに偶然通りかかって。
茜差す池袋の喧噪の中で、二人はピタリと足を止めた。

「やあ、マイスイートハニー」

別に、特に意味はなかった。
ちょっと、本当にちょっと。臨也は天敵兼恋人である静雄をからかおうと思っただけだったのだ。
まさか…、

「よし死ねダーリン」

なんて言葉が、あのくそ真面目な静雄から返ってくるなど想像もしていなかった。
なにそれ?ダーリンとか、君のキャラじゃないよねそれ?
普通に死ねとか殺すとか返ってくると予想していたから、臨也は「はい?」と思わず首を捻る。
もっとも、本当はそんな余裕をもっている場合ではなかったのだが、あまりの衝撃につい「死ね」という言葉が付いていたことを忘れてしまったわけだ。

「毎回毎回毎回池袋には来んなって言ってんのに、本当に手前は人の言うことを聞かねぇノミ蟲だよなぁ?」

ごきりと手首を鳴らす相手にようやく頭が働き出す。

「…いや、君も毎回毎回毎回ご苦労様だね。でもさぁ、俺が君の言うことに従う理由なんてないし、そもそも俺はノミ蟲じゃないし人間だし、ついでに言うならノミは人間の言葉なんてわからないと思――」

べきりと目の前でひしゃげたガードレールに、臨也は頬をひきつらせ、視線を泳がせた。

「いやシズちゃん俺が悪かったから今日は見逃してよ。俺これからお仕事だからさ」
「そんなの知ったことかよぉ、なぁ、ダーリン?」

わあ、そんなにさっきの気に入らなかったんだぁ。
ばきばきと道路から引き剥がされたガードレールにざっと血の気を引かせて。
臨也は先程の自分の発言を思いっ切り呪ったのだった。












※発言には気をつけましょう。
ただし、臨也さんの発言はほぼすべてシズちゃんは気に入らないと思います。
(mobile版拍手お礼その17 10.09.13初出)


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