好悪が逆転する薬を飲ませてみた おまけ編
※両片思いだったら。









「は?何言ってんの?馬鹿じゃないの?ああ馬鹿だったねごめん」

馬鹿にしたように鼻で笑う臨也に、静雄は何ともいえない微妙な表情で後ろを振り返った。

「…おい新羅、こいついつものままだぞ?」
「あれ?おかしいな?やっぱり試作品だし失敗だったのかな?」
「………」
「そんなに落ち込まないでよ静雄」
「…うるせぇ」

しょげた大型犬の風情を見せる静雄に新羅が困ったなぁと溜息をつく。
静雄が臨也に片思いしていることは知っていたが、薬による一時的な好意でもいいと思うほど思い詰めているとは思わなかった。
そんな二人の様子に首を傾げ、臨也は不満そうに呟く。

「なんなのさ二人とも」
「なんでもねぇ」
「なんでもないよ」

そう言ってから、新羅はある可能性に気づいてもう一度口を開いた。

「ああそうだ、臨也」
「なに?」

あくまで可能性だが、試す価値はある。
予想が当たれば、薬の効果を確かめられるだけでなく落ち込んだ静雄も浮上させられるだろう。

「今日はせっかく来てもらったし、大トロでもごちそうしようか?」
「は?俺大トロ嫌いなんだけど?」

喧嘩売ってるのかな、と言う臨也に新羅は会心の笑みを浮かべた。

「やっぱり効いてるみたいだね!」
「…そう、みたいだな」
「「…………」」
「ていうことはさつまりさ」
「…あ、いや、そうとは限らねぇだろ…?」
「いやいやいや!なんでそこで弱気になるのかな!?大トロラブな臨也が大トロ嫌いになってるんだよ!?僕も正直信じられないけどつまり臨也は――」
「わかってる!ただ俺も信じられねぇんだよ!」

叫んぶ静雄。

「だよね」
「おう」

予想外だと頷き合う二人に。
放置された臨也は意味が分からず首を傾げた。

「……?…一体何だっていうのさ」












※本人の知らないうちにバレる不幸…。

こんな感じで終了です。
(mobile版拍手お礼その16 10.09.13初出)