告白されました
※シズイザ小ネタ。









「シズちゃんのこと好きだって言ったら、どうする?」

首を傾げて問われて。
その唐突な言葉に、静雄は振り上げた標識もそのままに全身を硬直させた。

「………」
「………」
「………」
「………」

奇妙な沈黙が続く。

「…おーいシズちゃーん?」

そのまま一切反応がない静雄に、臨也が痺れを切らして呼びかけた。
その声にようやく頭が働きだして。
静雄が唖然とした表情のまま問いかける。

「…冗談、だよな?」
「さあ?どう思う?」

にんまり笑って言う相手。
それを静雄はじっと見つめ真実を探ろうと目を凝らす。そして、気付いた。
臨也の目は表情と裏腹に笑いの色を一切含んでいない。
その真剣な色に、息を呑んだ。

「本気、か?」
「…さあ?」

はぐらかすような笑みを浮かべる臨也に苛立つ。
標識を放り出して、大股で近づいて。
静雄は逃げようともせず自分を見上げる臨也の腕を掴み、引き寄せた。

「臨也」
「何かな?っていうか、手離してよ」
「さっきの答えだけどな」
「は?さっきって?」
「手前の質問だろうが」

溜息を吐き出せば、きょとんとしていた相手の顔が僅かに強張る。

「ああ、あれね。別にあれ、からかっただけだから」

すぐに表情は取り繕われ、その口からは嘘の言葉が吐かれる。
だが、一度気付いてしまえばもう誤魔化されはしなかった。

「俺も好きだ」

顔を近づけて囁くように告げる。
「え」と間抜けな声。驚愕に見開かれた目に笑ってやって。
拒まれないのをいいことに、静雄は形のいい唇に自分のそれを寄せた。












※ふと思いついたので。…ないな。ないない。
(mobile版拍手お礼その10 10.07.31初出)