kiss22箇所
※いろいろなシズイザとたまにシズイザ派生やその他とか。今回はシズイザ。











◆ 唇:愛情








それは臨也にとってみれば、あくまで偶然だった。
静雄の狭いアパートで、すれ違いざまふと見上げたら視線が合ってしまって、何となく足を止めた。その程度の偶然。
なのに、何を勘違いしたのか。
ひょいと屈んだ静雄は、臨也の薄い唇に口付けてきた。
ちゅっと音を立てて離れたそれに臨也はきょとんとして、そのまま首を傾げる。

「どうした?」
「…なんで、いきなりキス?」

問いかけに問いで返せば、今度は静雄がきょとんとした。
「キスしたかったんじゃねぇの?」
違うし。そもそも俺別にそんなのしたそうな顔とかしてないよね?
自分の考えが間違っているとは思ってもいなかったのだろう。意外そうな顔をして見下ろしてくる男に、臨也は深々と溜息をつく。

「別にそんなつもりはなかったよ」
「…そうなのか」
何でそこで眉尻を下げる…?
「…むしろ君がしたかったんじゃないの?」
表情から推察した可能性を指摘してやる臨也に、相手は何度か目を瞬いて考える仕草をして。
それから、小さく頷いた。
「そうかもしれねぇ」

そう言って、もう一度屈んだ静雄が、臨也の唇に己のそれを重ね合わせる。
触れるだけの優しいキスにそう悪い気はしない。
どうしよう、シズちゃんがかわいい。なんて思いながら、ちゅっちゅと繰り返される口づけにされるがまま任せていると。
「…ん」
不意に相手の舌先が唇をくすぐった。
何を催促されているのかは分かる。
けど、ここでそれを許容すればその先に待っていることも分かりきっていて、躊躇してしまう。

「臨也」

低い声が耳をくすぐる。
流されるのは、決して本意ではないのだけど。
…だけど、ほとんど無意識に結んでいた口を開いてしまっていた。
ああもう…今日はするつもり、なかったんだけどなぁ。
そう思ったところで、

「…、…っ」

当然のようにされるキスは、今度は触れるだけではなく。
臨也は、まあいいかと否定の言葉を飲み込んで、素直に目を閉じて恋人の口付けを受け入れた。












※何だかんだ言って甘い臨也さん。