2.どうやら避けられているような気がします。
※2話目。










とりあえず、シズちゃんにまだ返事をしていない俺としては早々に返事をすべきなのだろう。
そう思っているのだけど…。

「…シズちゃんが捕まらない」

ふうと息を吐いて机に突っ伏した俺に、新羅が苦笑した。
なんだと睨めば、シズちゃんやドタチン同様に俺の幼馴染である首なし妖精に心を捧げる変態野郎は、それはそれは楽しげににんまり笑って見せる。
…何だかそれ、すっごくムカつくんですけど。

「いや、瞠若驚嘆だよ。まさか君が静雄を追い掛け回す日が来るとは思わなかった」
「………」

やっぱりムカつく。
人が結構本気で参っているっていうのに茶化しやがって。
じろりと睨むと両手を上げて大げさな反応。
とりあえず、ムカつくので明らかに面白がっている友人に恨みがましい視線を送り続けてやることにした。

「まあ僕も、まさか静雄が逃げるとは思わなかったけどね」
「…俺だって予想外だよ」

シズちゃんは俺と違って真っ直ぐで潔いと思ってた。
玉砕覚悟で俺に告白が出来るくらいなのだと、信じていた。
なのに、この行動だ。
俺から逃げ回るシズちゃんはここ数日ほとんど教室にも来ていない。
告白した日に、シズちゃんは俺に返事はいらないって言っていたけど。…それって、つまりそういうことなのだろうか。

「俺、もうシズちゃんと一緒にいられないのかな」
「う〜ん…静雄が吹っ切れれば大丈夫かもしれないけど…この調子じゃ元通りは難しいかもね…」

くしゃくしゃと髪を撫で回す新羅の手。
それを鬱陶しく思っても振り払えないくらい、どうやら俺はダメージを受けているらしい。
シズちゃんに避けられるなんて、俺は今まで考えたこともなかったんだ。
俺の隣から、シズちゃんがいなくなるなんて…考えたこともなかった。

「シズちゃんの、ばか」

ぽつりと、呟く。
どうしよう。何だか、泣きたくなってきた。












※シズちゃんが出てこない…。