「じゃあ、その悪趣味な僕がこよなく愛するあなたは相当なゲテモノということで宜しいので?」
※お題『組込課題・台詞』より。どっちが上になるかで揉めた後。エロい雰囲気ですが雰囲気だけ。>はふ、と息を吐き出して。
臨也は自分を組み敷く相手を見上げた。
精悍な顔だ。正直、この顔は好みなんだよなぁとぼんやりと思っているとキスされる。
ちゅ、と小さな音をたてて離れる唇を追いかけて、自分からも口付けた。
舌で口の端をぺろりとなぞる。
「おい…」
不満と動揺の混じる声。
それに満足げに目を細め、臨也はくすくすと笑う。
「大丈夫だよ。一応今回は譲ってあげるって」
「………」
面白そうに口の端を吊り上げるその笑みに、静雄は眉間に皺を刻んだ。
「…余裕だな」
「そりゃ、まあ、ね」
「手前…」
ますます寄った皺から妙な勘繰りをしたらしいと気付いて。
臨也は静雄が余計なことを言い出す前にその口を塞いだ。
濡れた舌で端から端までなぞって、その薄い唇を存分に味わってから離す。
「先に言っとくけど、俺、男は初めてだから」
「…本当かよ」
「俺は基本ヘテロだよ。まあ君と違って童貞ではないけどねぇ?」
「死ぬか?」
「遠慮するよ」
ぐっと胸を押されて、ベッドに背をつけて。
臨也は静雄の下手くそなキスを素直に受けた。
技術もなく面白みもないそれは、だが、不思議と悪くなかった。
「あ、でもキスはしたことあるかな。ちょっと興味があってしてみたんだよね。まあそれ以上は無理だって断ったけど」
「…少し黙れ」
「んー…まあいいけどさぁ」
触れるだけのキスを何度かされて、身体のそこかしこに触れられる。
何もかもが慣れていなくてぎこちないその動きに、それでも煽られている自分を自覚して臨也は苦笑した。
「ねぇシズちゃん」
「あ?…だから黙れって――」
「もし痛くしたら、同じことするからね」
優しくしてね、とにっこり笑っての言葉に、静雄の身体が硬直し。
先ほど繰り返した問答を思い出し、苦虫を噛み潰したような顔をした。
どちらが抱くかでもめるなど、たぶん静雄は思ってもいなかったのだろう。
だが臨也も男だというのに当然のように自分が抱く側だと思っていたのだから、多少の意趣返しは許されるはずだ。
俺だってシズちゃんにしてみたかったのにと、呟くとあー…と困った静雄が小さく呟く。
そして、心底複雑そうな顔で言った。
「クソッ、悪趣味な野郎だな…」
ふうん。そういうこと言うんだ?
目を細めて、臨也は楽しげに告げる。
「じゃあ、その悪趣味な俺がこよなく愛する君は、相当なゲテモノということでいいんだね?」
自虐的だねぇ、シズちゃん。
そう笑ってやれば、一瞬何を言われたか分からなかったらしい静雄は目を瞬かせ。
それから、今度はそれはそれは不愉快そうな顔をした。
「ッ、おいっ」
手を取って、がぶりと指に食いつく。
焦った声を上げる静雄の様子を愉しみながら、臨也は誘うように指の腹を付け根から舐め上げる。
「シズちゃん、しよ?」
「〜〜〜ッ」
誘い文句は直裁に。でないと伝わらないのだからホント困る。
鈍い男もさすがに顔を真っ赤にして、恨めしそうに一瞬睨まれたが、臨也は笑っただけだった。
そう経たず静雄の手が服の隙間から侵入して肌の上を滑っていくのを感じて。
臨也は素直に目を閉じて快楽に身を委ねた。
※及第点は何点だと聞きたいところ。
[title:リライト]