ある保護者(仮)の呟き
※来神ドタイザ。梨紅さんへの捧げ物!














「俺、ドタチンが好きみたいだ」
そんな言葉を聞かされたのが、約一ヶ月前。
人間が好きだ公言してはばからない相手であったから、門田はどうせただのたちの悪い気まぐれだろうと「そうか」と返事しただけでその時は終わった。
それから半月して。
臨也からもう一度告白された時には、たぶん門田はもうこのやっかい極まりない相手を好きになっていたのだと思う。
「俺やっぱりドタチンが好きだ」
だからドタチンさえよければつき合ってよ、と男同士とかそんなこと最初から問題にしていない彼は言った。
それからさらに半月。
それなりに順調に彼と付き合えている(と思う)門田の心残りと言えば、あの時気の利いた返事を返せなかったことぐらいだった。




「あーもう!あの化け物ホントムカつくッ」
不機嫌そのものの顔で声を上げて、一通り気が済んだのか臨也が門田に抱きついてくる。
ドタチンはあんなのと関わっちゃだめだよ、バカが感染るから。とか言っているが、それはさすがにあの同級生に酷くないか?と思わないでもない。
とりあえず返事は避けて溜息一つ。その背をぽんぽんと軽く叩いてやれば満足したのか臨也は目を細めた。

「ケガはしてないな?」
「今日は大丈夫」
「…ならいいが…あまり平和島をからかうのはやめたほうがいいぞ」
「んー…やだ」
「………大ケガしてからじゃ遅いぞ?」

そう言えば、何故か臨也は顔を上げて目を何度か瞬かせた。
そして、顔を緩めてくすぐったそうに笑う。
「ドタチンは優しいなぁ」
「………そんなことはないけどな」
そう。そんなことはない。
これは臨也を心配しての発言でも――いや、それがないとは言わないが――臨也に人生を引っかき回されている静雄を気遣った発言でもないのだ。

これは、嫉妬だ。

そう自覚しているから、門田は苦々しく笑うしかない。
自分とは別の意味で、たぶん臨也の中で別格な存在である静雄への嫉妬。臨也の心の中に確実に住み着いているあの男が、無自覚ではあるだろうが自分と同じ意味で臨也を意識していることに気付いているのは、たぶん自分だけだ。
だから、嫉妬もするし警戒もする。

――まあ、盗られる気はねぇけどな。

用心するに越したことはない。
それに…なにより、だ。
「ドタチン?」
「ん?どうした?」
この相手が、一番問題なのだ。
告白してきたのは臨也なのに、付き合ってみればそれ以上の進展もなく。
門田としては少しだけ物足りなくも思ってしまう。
奥手と言うよりは今の状況に満足してしまっているんだろうな、とそう推測してはいるが、だからすぐにどうにかできるというものでもないから。
だから、待つことは嫌ではないからとりあえずじっくり付き合っていくことにしている。
「ドタチンなに考えてるのさ」
「…主に目の前の人物についてだな」
「………真顔で言われると反応に困るんだけど」
「そうか?」
「そう」
こくりと頷いて、臨也は少しの間門田を見つめて。
それから、言った。
「ドタチン大好き」
「…そうか」
頭を撫でてやれば、嬉しそうに綻ぶ顔。
一体いつになったらちゃんと恋人と意識してもらえるんだろうな、と心の中で苦笑して。
それでも門田はこの関係を崩さぬようにゆっくりと進んでいこうと思うのだった。












※たぶん実際はドタチンが思ってるよりずっとドタ←イザだと思う。

遅くなってしまい申し訳ございませんでしたっ><
リクエストありがとうございました…!