恋敵は強敵です
※新臨前提シズイザ。たつみさんへの捧げ物!














「新羅?好きだけど?」
あっさりそう言い切った相手に。
静雄は予想していたにもかかわらず唖然としてしまった。
「…?どうしたのシズちゃん?」
「……やっぱ、好きなのか」
「うん。そりゃ、新羅は特別だし」
「特別」
こいつの――臨也の特別。
じわりと胸に広がる不快感。
そうだろうとは思っていたはずなのに、実際に聞いてしまうと予想以上に気分が悪かった。
「そう特別。…ああ、そういえば俺のファーストキスって確か新羅だったはず」

バキリ。

「…シズちゃん、ベッド壊さないで欲しいんだけど」
言われて手元を見れば、力を入れすぎてへし折られたベッドの背もたれが見える。
「…悪ぃ」
謝れば仕方ないなぁと臨也は溜息をつく。
「…そういえば、俺の初恋ってさぁ、ひょっとしたら新羅かもしれないんだよねぇ」
「……へぇ」

――『大事にしないと、返してもらうからね』

そう、幻聴が聞こえた。
臨也とこんな関係になる少し前。静雄に向かって笑顔でそう警告とも宣言ともつかない台詞を口にしたのは件の友人だ。
決して交遊関係が広いとは言えない――はっきり言ってしまえば狭い――自分と臨也の共通の友人で、臨也の暫定初恋の相手で。意外に潔癖性な臨也が、静雄以外で唯一身体を許した相手。
「……」
…やべぇ。今すぐ殴りに行きたくなってきた。
そんな嫉妬に駆られる心中を深呼吸で何とか静めて、静雄は臨也に手を伸ばした。

「シズちゃん?」

不思議そうに首を傾げてくる臨也は、静雄の感情の動きには気づいていないらしい。
何でこいつは自分を一番に考えてくれる奴を好きにならなかったんだろうか。
どんなに想っても一番になどなれないのに。
そう思って、首を振る。
考えてみれば自分だってそうだった。そもそも恋なんてそんなものなのかもしれない。

「ままならねぇよなぁ」

呟きにきょとんとして、それから何を言いたいのか察したのか苦笑した臨也に。
連鎖的に思い出したのは静雄を挑発するような恋敵の笑み。
「……ぜってぇ新羅には返さねぇ」
復活したムカつきに、静雄はそう決意を新たにしたのだった。












※新臨前提というより新(→)←臨で静⇔臨。考えてみたら結構な三角関係…あ、セルティ入れて四画…

遅くなってしまい本当に申し訳ございませんでした…っ><
リクエストありがとうございました!