今更どうでもいいこと
※帝臨→静? R-18だけどエロくはないし、あいかわらず薄暗い。























「臨也さんって、静雄さんのこと好きなんじゃないんですか?」

唐突にそう問われて、臨也は蕩けた表情のまま、目を瞬かせた。
背後から抱きかかえるようにして臨也の中に自身を挿入している少年に、首を僅かに捻って視線を向ける。

「なぁに?今更、そんなこと、気になるの?」
「…いえ、前々から思っていたんですけど、聞く機会がなかったもので」
「…っ…は、ぅ…ふつう、こういう状況で、聞く…?っていうか、答えが、欲しいなら…動くの止めてくれない、かなぁっ」
「嫌です。臨也さんの中、気持ちいい」
「ん…ぁあっ」

自重で深く飲み込んだそれが、柔らかい体内をぐりぐりと掻き回して。
臨也は与えられる緩い刺激に甘い吐息を零す。

「あ…ぁ……やッ」

ぷくりと透明な液を溢れさせた先端の小孔を爪先で弄られて、見開いた目から涙が零れ落ちた。
的確に与えられる快楽は、これが始めての行為でないことの証だ。
セフレと呼ぶには親密な、恋人ごっことでも言うような付き合いが始まったのは、いつのことだったか。
最初にしたのはいつ何処でだったかなと思考を巡らせながら、臨也は少年――帝人の手でもたらされる感覚を享受する。

「臨也さん、さっきの質問なんですけど」
「あっ…ん…、も、意地悪、しないでっ」
「なら、答えて下さい」

一回臨也の中で出している帝人と違い、臨也はまだ一度も放出を許されていない。
巧みな手で扱かれてイく寸前で塞き止められてを繰り返されて。
だが、そうやって弄ばれるのも別に嫌いではないので自由にさせていたのだが…。

「おれのこと、いじめて…ッ…楽しいわけ?」
「結構、楽しいかもしれませんね」
「はっ…実は君、けっこう性格悪い…よ、ねぇ…ッ」
「へぇ、そんなこと言うんですか」
「ちょっ、うぁ…や…抜かないでっ」

身体を前に倒されて、ずるっと抜き取られていくそれ。
それに追いすがるように後孔が絡みつききゅうっと収縮するが、無視するようにギリギリまで抜かれて臨也は物足りない感覚にぶるりと身を震わせた。
先をほんの少しだけ挿入されたままの後ろは、帝人の性器の先端に吸い付くように蠢く。
細かく震える白い背中に感じる強い視線。
ヒクつく後孔までよく見える体勢に、臨也は羞恥を覚え、じんと熱が高まるのを感じた。

「みかど、くん…いれて」
「……」

返事はない。だが、代わりに背を帝人の手が撫でていく。
臨也は息を吐いて、一度身を起こして体勢を変えた。
帝人は見ているだけで、止める気はないらしい。
触れるほど近づいた顔は、まだ子供のそれなのに、目だけが独占欲に満ちた雄の気配を感じさせた。
唇に触れることなく顔を離して、帝人と向き合う形で足に乗り上げる。所謂、対面座位だ。
そっと手を沿わせた帝人のそこの熱さに眩暈を覚えて。
臨也はくつくつと笑って、自身の後孔とそれを擦り合せる。

「ッ」
「ははっ、気持ちイイ?」
「…臨也さん」

帝人の手が、腰を掴んで臨也の身体を下へと押した。
「ぅ、んッ」
ぐちゅ、と音を立てて先端が飲み込まれて、臨也はその圧迫感に耐えながら、か細い声で、言った。

「分からないよ」
「…え?」
「だーかーらー、さっきの答え。分からないよッ」

ぐっと腰を沈めて、自分から帝人のそれを根元まで飲み込んで。
臨也は苦しげに息を吐き出しながら、答えを口にする。

「だって、もう…分からないんだよ。最初は、すき、だったのかもしれない、けど……っん、も、そういうのじゃ、ないから」

恋と言うより、執着。
好きと言うには、あまりにもドロドロと重く。
その感情の名前が何かなど、もう臨也にだって分かりはしないのだ。
だから、もう。

「おれは、ね…っ…しずちゃんを、ころしたい……ただ、それだけだよ」

それが帝人の耳にはどれほど熱烈な愛の告白に聞こえるのか。
この世でただ一人、臨也から嫌いだと言ってもらえる存在に、帝人がどれほど強い羨望と嫉妬を抱いているか。
そして、それでも今腕の中にいる臨也を手放したくないが故に彼は嫌われることもできないでいるのだと。
臨也はすべてちゃんと理解した上で、ただ、甘やかな声で絶望をもたらす。

「俺は、しずちゃんがきらい。だから、ころしたいんだよ」

言いながら、きゅうっと絞った体内で帝人のそれが存在を主張する。
その深くを犯す熱と嫉妬に歪んだ表情は、臨也を満足させるに十分なものだった。












※歪んだ愛の形のはなし。

根底にシズイザ。でもたぶんこの臨也さんは帝人に嫉妬させたいだけで静雄さんに恋はしていない気がします。