epilogue.手を伸ばす先の幸せ












side:---





触れるだけのキスを何度も繰り返して。
満足するまで啄ばんだ静雄がゆっくりと顔を離す。
それを視線で追いながら、臨也も満足げに息を吐き出した。
愛しいという気持ちが互いから伝わってくるようで、二人の顔が無意識に綻ぶ。


出会いは普通とはいえなかった。
これから先だとて、普通の関係には収まりきらないだろう。
でも。それでも。


「君に出会えて、良かったよ」
「俺も、お前に出会えて幸せだ」

互いにそう口にして、何となく照れくさくて困ったように笑い合う。
いくら言っても、足りない気がする。もっともっと言いたかったが、言えばその度赤面してしまう自分を、静雄も臨也も笑うしかない。
だから、足りない分は、触れて、抱き締めて、キスして。
そうして、この幸せな気持ちが相手にも伝わればいいと願うのだ。

「好きだ臨也」
「俺も…好きだよ、シズちゃん」

何度でも伝えたい。
ちっぽけな嘘で遠回りした分、何度でも。
ずっと、これから先も。


ただその存在が愛しいのだと、伝えていきたいのだ。












※――君に。お前に。