36.何度でも
※R-18。



























side:S





そっと手を動かして射精の余韻でだるい身体を起こした俺は、荒い吐息を零す臨也の頬に触れる。
熱く火照った体温を指先に感じながら小さな声で何度か名を呼ぶと、臨也は緩慢な仕草で僅かに身じろいだ。

「臨也、大丈夫か?」
「…ん」

とろりと潤んだ赤い瞳が俺を見上げて、瞬く。
まだ返事を出来るほど呼吸が回復できていないのか、それ以上の言葉はなかった。
くったりと投げ出された白くて細い身体はまだ快楽の余韻の小さく震えている。

「臨也」

じんわりと胸を満たす充足感。
それに浸りながら、俺は臨也の髪をかき分けてその額に口付けた。
「しず…ちゃん、もっと」
キスして、と甘えた声で請われるまま、何度も顔中にキスの雨を降らせてやる。
満足そうにふんわりと笑う臨也が可愛くて愛しくて堪らない。
お互いに充足するまでキスを続けて、それから、俺は身を起こした。
「んんっ」
その動きでいまだ挿入したままだった俺のものが擦れたのか、臨也が小さく声を上げる。
臨也が呼吸するたびに緩く締め付けられるのが存外気持ちよくてこのままもう一度したい気分になってくるが、臨也の負担を考えるならここで止めるべきだろう。
息を吐いて自分を宥めて、そっと引き抜こうと腰を引いた途端。

「くぅ…ん」

鼻にかかった声が漏れる。
堪らなくなって引きかけた腰をぐっと押し付けると、ひゅっと息を呑んで、その拍子に見開いた目からぽろりと涙が零れた。

「臨也」
「あ…っ、しず、ちゃん」
「悪ぃ…もう一回、いいか?」

目元に唇を寄せて、涙を舌先で掬ってから問いかける。
「いい、よ…も、ダメって言っても、がまん、できないでしょ?」
伸ばされた手が、俺の頬に宛がわれて首筋へ滑って。
その手に誘われるまま、唇にキスを落とした。

「壊さねぇように、気をつけるから」
「ん…おねがい、ね」

そう言って、ふわりと笑った臨也に。
ああ、やばい。やっぱり無理かも、と思う。
一度出したってのに、まだ全然足りない。
もっともっとと、際限なく溢れる欲に、抗えない。

「臨也、好きだ」
「んっ、俺も…すき」

深く繋がったまま腰を揺らすと、臨也は苦しげに目を眇めた。
一緒に気持ちよくなりたくて、臨也の緩く勃ち上がったものを手のひらに包んで軽く扱く。

「や、ぁ…っ、ぁ、あァ」

甘い鳴き声を上げる臨也。
俺はその声がもっと聞きたくて、臨也の感じる場所ばかりを狙って腰を揺らした。
「し、ずっ…ちゃ、ん…ぁう…ん、やっ」
ピクピク震えて、必死になって背にしがみ付いてくる腕の中のこのイキモノが、愛しくて愛しくて堪らない。
こいつのこんな顔も、態度も俺だけが知っていればいいのだ。
そう、独占欲に塗れた想いを抱く。
そうして、二度と離さないと誓いを新たにして、俺は涙に濡れた頬に唇を寄せた。


――ああクソ、ホント、すっげぇ好きだ。












※だからこそ、触れたい、守りたい、甘やかしたい――泣かせたい。