18.予想外で予定外
※R-18。










side:I





なんで、こんなことしてるのかなぁ、俺?
そんなことを頭の片隅で思いながら。
俺は、小さく鼻にかかった声を上げる。

「んっ…ぁ…っ」

くちゅ、と音を立てて、シズちゃんと俺の性器を重ねて、一緒に握って擦って。
快楽で霞のかかった脳みそで、それでもこうなった経緯を思い出そうとした。
ええ、と…そうだ。確か、酒を飲んでいたんだ。それで、だいぶ飲んだ頃、何か見つけて…なんだっけ?ああ、そうそう。AVだ。シズちゃんの先輩だかなんだかに押し付けられたんだっていうそれを…どういう成り行きだったか忘れたけど、見たんだ。うん、少し思い出してきた。それで…あれ?なんだっけ?

「っ、アッ」

ぐりっと爪の先で敏感な先端を軽く抉られて、思考が中断される。

「しずちゃ…っ」
「っ…わりぃ、痛かったか?」

名前を呼んだら、謝られた。どうやらさっきのはわざとじゃないらしい。
わざとじゃないならいいよ、と答えれば。
止まっていた手のぎこちない動きが再開される。
自分の手も誘導するように動かしながら、目を閉じた。
うまくないからもどかしいけど、どうしよ、結構、これはこれで気持ちいいかも。

「っ…んぅ…ぁ」

ふわりと漂うアルコールの匂いに、ふと思い出す。
ああそうだ。俺もシズちゃんもAV見始める前にだいぶ酒を飲んでいたんだ。
俺は元々決して酒に強いわけじゃないけど、あの時点で既に理性は緩んでいたんだと思う。
隣の興奮しているのか少し紅潮したシズちゃんの顔とか小さく漏らす微妙な息づかいとか、すごくキて、つい…手を伸ばしちゃったんだ。ああもう…我ながら馬鹿すぎる。これあとでどうフォローするつもりなんだよ?いくらシズちゃんが単純でも、こういうことしちゃった事実が消えるわけじゃないってのに。
困ったな、と快楽とたぶんまだ抜けていないアルコールのせいで濁った頭で考えて。
でも、すぐ思考を放棄した。いまさら考えても無駄だ。それより、今はとにかく気持ちよくなりたい。

「っ…ぅ」

先端を指の腹でくりくりと弄ると、びくっと大きく体を揺らして、シズちゃんが声を耐えるように唇を噛みしめた。
はは、かわいい。慣れてない初心な反応だ。

「シズちゃん、気持ちいい?」
問えばこくこくと必死に頷いてきて。

「んっ、俺も、気持ちいい、かも」

ふるり、と体を震わせて。
俺は、目を閉じて快楽だけを追うことに決めた。
アルコールで緩んだ理性じゃ、欲望を止めるのは無理だ。考えても仕方ない。

…でも、本当に、こんなつもりじゃなかったんだけどな。












※なんで、こんなことしちゃってるんだろう。