4.ただの気まぐれ、あるいは好奇心










side:I





俺――折原臨也は、昨日、変わったものを拾った。
そのものの名前は、平和島静雄という。ちょっと興味深い変わり種だ。
仕事を終え、帰路へつこうとした矢先。携帯に入ってきた情報に、俺は一瞬目を疑った。
平和島静雄が、ある組織に捕まりそうになっている、なんて情報だ。最初はまさか、と思った。でも、確かな筋からの情報である以上、たぶん真実なのだろうと考えて。
俺は、そこでさてどうしようかと考えた。
無視しても良かったのだ。平和島静雄に興味はあったけど、それは興味でしかなくて。時間を割く価値があるのか、決めかねていた。
ただ、その時ふと。そう言えば、平和島静雄があの闇医者の友人だったと思い出した。
それが、俺が動いた一番の理由だった。

『じゃあ、俺が君を買ってあげようか?』

そう声をかけた。
実際間近でその姿を見るのは初めてで。
その細身からどうしたらあの力が生まれるのか、好奇心を刺激された。
平和島静雄の借金を肩代わりするくらい、別に俺にはそう難しいことではなかったし、それにいくつかの情報を足して、あっさり『池袋最強の男』は俺のものになってしまった。



「まあ、だからってどうってこともないんだけどさぁ」

回想を中断して、呟いて。
俺は次々入ってくる平和島静雄の行動の情報を整理する。
どうやら、今は上司とお昼の真っ最中であるらしい。

「俺もそろそろ昼にするか。しかしシズちゃんってば、ファーストフードが好きなのか…。あんなもののどこがいいんだか」

ふう、と溜息をついて。
今日は何を食べさせるかなと考えながら、俺は席を立ってキッチンに向かった。












※絶対俺の作ったご飯の方がおいしいと思うんだけど。