2.盗撮が犯罪って知ってますか?
※付き合ってる設定。基本イザ→→→←シズ。












その日。静雄は臨也の家に勝手に上がり込んで家主の帰りを待っていた――もちろんムシャクシャしたので殴るためだ。
そして、なかなか帰ってこない臨也に待ち飽きて、うろうろと歩き回り、そこでそれを見つけた。


「?」

なんだこれは?
そう思って、静雄はきちんと収納されたビデオを取り上げた。
臨也のきれいな字が書かれたラベルには、どう見ても自分の名前が書いてある。

「???」

そもそも臨也の家にビデオデッキがあっただろうか?
普段見ているのはDVDだよな?と考えつつ、静雄はビデオを持ったままキョロキョロと辺りを見回した。
少なくとも、すぐに見つけられる範囲にはないらしいと確認し、首を傾げる。

「…そういえば…」

前に静雄が持ち込んだビデオを見るのに臨也がデッキを出してきたのを思い出す。
あれはどこにしまっていたのだったか。

「お、あったあった」

ごそごそと家主の不在をいいことに家捜しすること10分。
見つけたデッキをテレビに繋いで、ビデオを入れて――。

「…………」

画面に映し出された、きちんと編集されているらしいその映像に。
静雄はピシリと固まった。
どう考えても撮られた覚えのない自分の映像が、そこにあった。
眠っていたり、ぼうっとしていたり、本を読んだり、料理をしたり。そんな日常の自分の姿が、映っていた。
呆然と流れる映像を見つめる静雄を余所に、また画面が変わる。

「ッ!?」

そこには、ぐったりと床に横たわる自分と、その自分の髪を梳く臨也の姿があった。
『シズちゃん寝ちゃった?』
『…寝て、ねぇ…』
『大丈夫?』
『………』
そんな会話が聞こえてきて、静雄は完全に動きも呼吸も止める。
いつの事かは分からないが、確実にこれは事後だ。間違いない。なんでこんなものがあるんだ、っていうか、これ絶対俺の家だぞ?なんでこんな映像が――
その時。混乱する静雄の耳に、その混乱の元凶だろう男の声が聞こえた。

「あれ?シズちゃん?」
なんで君がいるの?と問う声に、答える余裕などあるはずもない。
「てめっ!これいつ撮ったんだ!?」

これ!と静雄が指さす先を見やり、臨也は「あ、見つけちゃったんだ」とのんきな声を出す。

「見つけちゃったんだ、じゃねぇ!これはどういうことだ!?ってかいつ撮ったんだ!?」
「え?やだなぁシズちゃん。俺はシズちゃんのことなら何でも知りたいんだよ?24時間ずっと撮影してるに決まってるじゃないか」

………。

「…ッ!っこのノミ蟲がぁああ!!」

盗撮じゃねぇかこのストーカー野郎が!と叫んだ静雄に。
臨也は「あはは、今頃気づいたんだ鈍いねぇシズちゃん」と言って、殴られたのだった。



ちなみに、その後ビデオは全て没収、処分となったのだが。
臨也のパソコンに元のデータが残っているという事実に静雄が気づくことはなかったのだった。合掌。












※ナチュラルに犯罪者な臨也さん。


[title:確かに恋だった]