fall
※イザシズ。R-18。ただやってるだけです。これぞやおい!
































「シズちゃん、気持ちいい?」

問う声に返事はない。が、理由がわかっている臨也は気にしなかった。
自分の手で必死に口を押さえる静雄の赤らんだ顔に指を這わせ、耳の裏をくすぐる。

「…ッ…ん……ぅ」

きつく閉じられた瞼に舌を這わせると、強張った身体がビクリと震えた。
そのことに気を良くした臨也は、白い肌にも舌を這わせていく。
薄い傷跡は多いが充分に綺麗な身体は臨也の目を楽しませてくれる。

「ふ…ぅ……ッ」

どうあっても声を抑えようとするのはいつものことで。挿入されればどうせ抑えられなくなるのだから最初から無駄なことはしなければいいのにと思う。
まあ、今の静雄の立場に自分がいたら絶対に声など出したくないが。そう考え臨也は笑う。
ぞわぞわとした背筋の感覚にまかせ、静雄の喉元に噛み付き滲んだ血を舐め取る。大して切れないのが残念だが、相手は静雄なので仕方ない。

「シズちゃん」

つ、と震える下肢の付け根をなぞると、静雄の眦から涙が零れた。

「シズちゃん、手、貸して…?」

口元を覆うのとは反対の手を取って、その大きな手に舌を這わす。
指を口に含み、静雄の雄を慰める時のように舌を絡めて、わざとらしく音を立ててしゃぶった。

「…ん、んっ!…やっ…いざ、やぁ」

耐え切れず漏れた声が鼓膜を震わせる。
ピチャピチャと水音を響かせ、静雄を耳から犯していく。
引こうとする手に歯を立てて静止させ、指への愛撫を続行する。

「う…んッ…い、ざや……ぁ…そ、れ」
「シズちゃん気持ちいい?」
「ふ、ぅ…」

こくこく頷く静雄に満足げに笑って、臨也は更に指を丹念に嬲っていく。
指の腹からつ、と付け根まで舌を滑らせ、指の股の間を丁寧に舐める。
その度にヒクつく身体が今だけは心底愛らしく思えた。

――いつもそうしていればたっぷり愛して可愛がってあげるのに。

そんな非道なことを思う。

「ひぅっ…、あっ」
「感じるんだね。うん。指舐められて感じるなんてすっごく変態っぽいけど、シズちゃんは淫乱だもんね。だからここも性感帯にしてあげるよ。指だけじゃなくて、何処に触られても感じるようにちゃんと躾けてあげる」
「い、ざっ…ひあっ、アッ」

ぐちゅりと音を立てて指が後孔に侵入する。その刺激に静雄は耐え切れず大きな声を上げた。
小さな窄まりはさした抵抗もなく臨也の指を受け入れている。吸い付くようにヒクヒクと蠢く柔らかい内壁は指を奥に誘おうとするかのようで、臨也は目を細めて褒めるかのように指を動かした。

「こうやってお尻の孔が気持ちいいって教えてあげたみたいに、いっぱいいっぱい気持ちよくしてあげるよ。シズちゃんお尻に突っ込まれて中で出されるの大好きになったでしょ?精液一杯かけられてお腹の中ドロドロにされて性器弄られたら我慢なんてできないもんね?乳首捏ねたり引っ張ったりするだけで射精できちゃうもんね?だから、ここもすぐに気持ちよくなっちゃうよ。嬉しい、シズちゃん?」
「あ、あっ…」

卑猥な言葉の羅列にビクビク震える身体は昂ぶって、その苦しさに静雄は指を舐めながら後孔を弄り回す臨也を見つめる。
涙の溜まった目元に、半開きの口。潤んだ瞳が懇願するように臨也を見て、もっと触ってと必死に訴えていた。
臨也が口にしたことをされる自分を想像したのか、ほとんど弄っていない静雄の雄はたらたらとはしたなく雫を零し続けている。
腰が揺れ臨也の手に押し付けられて、その熱さに臨也は笑う。
直接的な快楽を強請って必死に自分を見つめるさまからは、到底普段の喧嘩人形の姿は想像できないだろう。

「して欲しい?」

問えば素直にこくこくと頷く。
それに答えて、焦らさずに孔を苛める指の数を増やし、もう片方は舐めていた静雄の手を開放してから先走りの溢れる雄に触れた。

「あ、んぅッ!」

突然の刺激に跳ねる身体。

「うん。いい感じだね。中濡れてるのわかる?シズちゃんの中、腸液と精液でぐちゃぐちゃだよ」

わざと音を響かせて、中を弄る。一番感じる前立腺のしこりを掠める度、引き攣った喘ぎを漏らす姿にゾクゾクする。
ああ、たまらないな。もっともっと啼かせたい。
仇敵の無様で淫猥な姿に笑いが止まらない臨也は、素直に快楽に身を任せている静雄を嘲るように話しかける。

「シズちゃんの身体ってホント面白いね。筋肉とか骨だけじゃなくてこんなとこまで進化するとかありえないよ。そんなに気持ちいい?女の子みたいに身体が勝手に受け入れる準備するとかさ、笑えるね。今のシズちゃんの身体、どんな状態か自分でわかってる?」
「あっ!?ひッ…んーっ…ん、くぅっ」

力任せにぐっと奥まで押し込んだ中は男を受け入れるための準備を既に整えていた。とろとろに蕩けた内壁を三本の指で探って確かめて、臨也は満足げに息を吐く。

「前も後ろもすっごい濡れてるねぇ」
「ああぁ!ん、…ひっ…や、あぁッ」

直に触れた性器の形をなぞり、軽く爪を食い込ませる。
嬌声を上げて無意識に腰を逃がそうとずり上がる静雄を、雄をきつく握って押さえ込んだ。

「ヒッ」
「逃げちゃダメだよシズちゃん。痛いの嫌でしょ?」
「ッ…あ、ひぃ…ぅう」
「しーずちゃん」

臨也の声に、静雄が涙の溜まった目を開く。

「ご、ごめ…」
「ん、いいよ。いいとこ弄ってあげるから逃げないで足開いてて」

雄と孔のいいところを両方弄られて、静雄が息をつめて泣きそうな顔をする。
手のひら全体で強弱をつけて扱き先端の窪みを爪の先で抉れば、じわりと濃厚な体液が溢れ幹を伝う。
体内を弄る三本の指はばらばらな動きで内壁の弱い場所を引っ掻いていく。
ビクンと震える身体の反応と垣間見せる表情がずいぶんと幼く見えて、奇妙な背徳感が臨也を満たした。思ったよりも興奮している自分に気付き苦笑する。

「ん、んっ」

気持ちよさそうに小さく喘ぐ静雄の目元にキスを落とし、そっと囁く。

「シズちゃんかわいい」
「んうぅぅ…あ、いざ…」

懇願の響きに顔を上げると、はっはっと犬のような吐息を零す静雄と目が合う。

「イきたい?」
「ふ、ぅ…やッ、こ、こ…」

ふるふると首を振り孔を弄っていた手に手を重ねられ、ああ、と頷く。

「挿れて欲しい?」
「ん…はや、く……ぁ…いれろッ」
「まるで動物だねぇ」

指を引き抜き、臨也は喪失感に震えて縋るような視線を向ける静雄に微笑んだ。
ぱくぱくと収縮を繰り返す色付いた孔を指の腹でひと撫でして吸い付いてくるそこをくすぐって。
物足りなそうに自分の下で喘ぐ静雄の額に、臨也は屈んで口付ける。

「いっぱいあげるから、好い声で啼けよ」
「あっ、あっ…や、だめッ…あ、ぁああ!」

昂ぶった性器を押し付け押し入った中は、熱く滑って気持ちいいが少しきつ過ぎた。
静雄の強すぎる筋肉の締め付けに臨也は息を詰めて堪える。

「ちょっ、きっつ…。中弛めてよ、キツ過ぎ」
「あ、う…ぅ…む、り…だ」
「無理じゃない、やって。これじゃ動けないよ」

ぎゅうぎゅうに締め付ける静雄に、額に汗を浮かべて臨也が命令する。
動いてもらえないと気持ちよくなれないことを知っている静雄はその言葉に慌てて呼吸を繰り返し締め付けを弛めようと勤めるが、どうやら上手くいかないらしい。
仕方ないと内心ため息をついて、臨也は彼の雄に再度指を絡ませた。

「ひっ、あ、あ…やっ」
「ま、ちょっとは、マシ…かな」

ぐっと腰を動かし、力ずくで根元まで埋め切る。濡れそぼって痙攣を繰り返す粘膜に包み込まれ、ようやく詰めていた息を吐き出した。
そして、乱れた息を整えようと浅い呼吸を繰り返す静雄を気遣うことなく動き出す。

「やっ、まだッ」

繋がった孔から聞こえる粘着質な音。ずちゅ、ぐちゃっと響く卑猥なその音と快楽の源を直接内側から抉られる快感に、静雄の抗議は結局途中で途絶えた。

「くぅ、んんっ!」
「気持ちよさそうだね、シズちゃん。中が良くておかしくなりそう?」
「あ、あっ…ぃ…、あっんッ」
「ん、なかなか上手くなったよね。いい感じの締め付け。君、今の仕事クビになったらこれで食べていけば?」
「も、や…、やだ…そこ、ばっか…ッ…ひぅ!?」

臨也がわざと前立腺だけを狙って腰を回し擦りあげて抉り続ければ、上がる嬌声は止まる気配がなく。
ひいひい言いながら腰を振る静雄が言われた言葉を半分も理解できていないだろうことは臨也にもわかっていた。

――馬鹿だねシズちゃん。こういうのが嫌なら俺なんかに抱かれなきゃいいだけなのに。

ホント馬鹿だ。と何故か自嘲する響きで呟いて、臨也は腰の動きを早めた。

「や、だッ……い、イク…も、いく、からぁ!」
「いいよ、イって」

静雄の内壁のいい場所をグリグリと抉って、雄に絡めた指先で促して。

「あ、ああッ…ひいっ、ぁ…、あ、ぁぁあああッ」

悲鳴を上げて精液を吐き出す静雄を観察する。
快楽に蕩けきって紅潮した顔。震えながらシーツを強く握る指先。
断続的に続く吐精はなかなか終わらず、きゅうきゅうと収縮する内壁のキツイ締め付けを味わいながら臨也は放出を耐えた。
勢いよく吐き出される体液は静雄の顔のみならず髪まで汚していく。それを指で掬って静雄の唇に塗りつけて、嗤う。

「シズちゃん、おねだりは?」

ヒクリと怯えるように跳ねる身体。でも足りないんだろう。なにしろ臨也は静雄に体内に射精されないと満足できないよう躾を施している。
順応性の高い身体は快楽と同時に刷り込まれた行為をしっかりと覚えている。それも含めなければ彼のセックスは完結しない。そう何度も何度も刷り込まれ躾けられて、例え自身がすでに射精していたとしても満足などできるはずないのだ。
ぽろりと静雄は生理的でない涙を零す。

「い、ざや…中、」
「なあに?シズちゃん?」
「中に、…ッ…だして、くれ、よッ」

必死に乞う姿が哀れで愛らしい。
うん。やっぱりこういう時のシズちゃんはかわいい。臨也はそう心の中で満足そうに呟いて、静雄の射精しているにも関わらずいまだ硬度を保ったままの性器を撫でる。

「よくできました」
「んっ、あっ」

緩く動かし続けていた腰を強く打ちつけ、ずるりと抜き出す。抜ける寸前でまた勢いよく押し込んで、敏感になった感覚に慄く身体の反応を楽しむ。

「ヒ、…いや、だッ」
「ん…イけそうかも。ちゃんと全部飲んでね、シズちゃん」

ぐちゅんと音を立てて押し込んで。ついでに前立腺を擦って連続の射精を促す。
手で性器と胸の突起も弄ってやって、静雄が簡単に快楽に堕ちるさまを目で愉しんで。

「あ、はっ…ぁ…あ、イ、くッ」
「俺も、イくから…ッ…イっていいよ」
「ひぁ、…あっ…ぅ…ッッ!!」
「…くっ」

二度目の射精で引き絞られた静雄の体内のキツさに抗うことはせず精液を吐き出した。
ぐっと何度か腰を押し付け、最後の一滴まで注ぎ込む。

「は、あ…」

息を吐いて性器を抜き出して、途端に溢れてきた白濁にため息をつく。
卑猥だ。非常に卑猥だ。臨也はうっかり反応しそうになる自分の下半身に嫌悪さえ覚えて呻く。


――ああ、ホントなにしてんだか。

最初に始めた時、理由は特になかったはずだった。しいて言うなら暇つぶしのゲーム。それだけで。
犯して穢して貶めて、男に足を開いて懇願する姿を嗤ってやって。それ以外にこの仇敵との性交に意味などないはずだった。
なのに、どこでどう算段が狂ったのか。触れ合う肌の温度に、まさか自分までが絆される日が来るなんて考えてもいなかった。
ふとした瞬間に湧き上がるこの感情の名前を、臨也はとうに知っている。だからこそ、無意味だとわかっていてもその気持ちに蓋をすると決めたのだ。
もう一度ため息をついて臨也は落ちかけた思考を断ち切る。
目を向けた先、ぐったりと身体を投げ出し浅い息をつく静雄はぼんやりと目開けたまま、半ば意識を飛ばしてしまっているらしい。

「シズちゃん、起きてよ。中の出さないと」

呼びかけにも応じない。これは困った。後で正気に返った時に殴られるかもしれない。
そう考えて身震いした臨也は、ドロドロになった自身と静雄の後始末をすべくだるい身体を動かすことで他の一切を忘れることにした。












※臨也さんは言葉責めとか好きだと思う。それだけです。
17話のシズちゃんに滾ってできた勢いだけのブツなので内容はまあ…。
タイトルの「fall」は色々な意味合いがあるので適当に自分が一番しっくりくる訳を当てはめて下さい。