タイトルが思いつかなくていっそエロ本関係の名前をつけるかとも思ったけど
それもどうよと考え直して結局無題(タイトル)
※イザシズ。なんというか下品。エロ本ネタ。









その日、静雄の住むアパートで彼の仇敵であり何故か恋人でもある折原臨也はのんびりと寛いでいた。
静雄と向かい合う形でローテーブルにつき、雑誌らしきものを片手に自分で入れたコーヒーを啜る。

「へー、シズちゃんこういうのが好きなんだ」

そう言いながらもパラパラとめくるその本は、ポルノグラフィ…所謂エロ本で。
そのことにようやく気付いた静雄が焦って手を伸ばすが、ひょいと避けられて終わった。

「手前ぇ何勝手に漁ってやがる!」
「いいじゃん別に減るもんじゃなしー」
「ッ…勝手にしろ」

自分を見ることもなく本から目を離さない臨也の言葉に、自宅を壊すことを避けたい静雄は内心口汚く罵りながらも手を引っ込めた。
ここで暴れて部屋を壊しても損害を受けるのは自分だけだと既に学習済みのため、気を静めようと深呼吸を繰り返す。

「貰ったの?」
「………黙秘権を」
「行使しなくても知ってるし」
「なら聞くな」

イラッとしてうっかり持っていたマグカップに罅を入れてしまったが、なんとか持ちこたえたらしくコーヒーが零れることはなかった。
そのことにほっとしている間にも、臨也は途中で何度か手を止めつつ雑誌を捲っている。

「うーん」
「手前はこういうの見ねぇのか?」
「興味ないなー。あ、これ結構美人」

あくまで視線の先は雑誌のまま。臨也は気のない返事を返す。
「………」
ついじっと観察する静雄の視線に気付いたのか顔を上げて、
「…なに?」
と首を傾げて問う。
「いや…おもしれぇか?それ」
「んー見てる分にはね。たとえばこの子撮影の時何考えてたのかなとかコレを買うような連中って…とか考えるのは楽しい。けどやっぱり、ね」
臨也はくすりと笑ってポンポンと本を手の甲で叩いた。実に愉快そうな顔だ。
「こういうので欲情したことはないよ」
その意外な言葉に、静雄は目を瞬かせる。

「…そ、うなのか?」
「うん今失礼な想像したよね絶対したよね?」
「……いや」
「シズちゃん酷すぎ」

じっとりと睨みつけてくる目に嫌な汗をかいて、静雄は目を逸らした。
確かに失礼な想像だった。事実でないことは身をもって知っているだけに居た堪れない。
そして、話題を変えたいととっさに頭に浮かんだ言い訳を並べる。

「あっ、いやそうじゃなくてだな。やっぱりゲイなのか、と…思っただけで…」

失敗した。これではそう変わらない。
自分の発想の貧困さを呪いたい気分で静雄は項垂れ、そっと臨也を盗み見た。
だが、どういうわけか臨也はこちらの発言の方はあまり気にならなかったらしい。

「あ、そっち?別に俺ゲイじゃないよ。いろいろ試したけどどっちもイけるしどっちも好き」
「………」

聞くんじゃなかったと、静雄は心底思う。臨也の性的嗜好と遍歴などという知りたくもない情報が頭にインプットされた事実を、できるものなら今すぐ消去してしまいたかった。

「今はシズちゃんだけだよ」
「そんなことは聞いてねぇ」

さらりと続けられる言葉に睨む。別に臨也の過去の相手など気にしていない絶対に!と、そう自分に言い聞かせるように強く心の中で断言する。
静雄の答えと表情に何を読んだのか、臨也はくくっと低く喉の奥で笑った。
「だろうね。でも何か言いたそうだったし一応」
実に楽しそうに笑いながら、手にしていた本をローテーブルに放る。
そして、さり気なく…もなかったが…テーブルに手をつき、向かいに座る静雄に顔を寄せ、

「俺がこういうのに興味ないし勃起しないのは、知りもしない触れない女がいくら足開いて誘っててもそそられないし勃たなくても問題ないから」

そう言いながら、ついには鼻先が触れるほど近くまで接近した。
臨也の行動に固まったままの静雄はそれを見ていることしかできない。顔が熱い。なんでこんな近くにいるんだ。そんな軽い混乱の中で臨也の声を聞く。
片手が頬に触れ、愛おしそうに撫でられて。
静雄はようやく動き出した頭で先ほどの言葉を反芻する。ええと、つまりどういうことだ?そう思った次の瞬間、

「そんなのさ」

にっこり笑って、臨也は言い切った。

「勃てたい時に勃つなら何の問題もないんだよ、シズちゃん」












※このあとは多分想像どおりですので割愛。
最後の台詞が言わせたかっただけ。そして静雄さんのキャラを見失いました。こんなイザシズは嫌だ。もっと殺伐としてなきゃ(自分が)ダメだ!!