ある愛の話
※だいぶ意味不明です。
















「俺は人間が好きだからさ」

そう言って、臨也は真っ直ぐに俺を見た。

「だからもっともっともっと知りたくて、いろいろな部分が見たいんだよ」
「………」

だからと言って他人を貶めて良いわけがない。
新羅じゃないが反吐がでる。
不愉快さが顔に出たのか、臨也はくつくつと笑って俺に手を伸ばした。
頬に触れる細い指先を掴むと、俺の膝を枕に寝そべる最低野郎は瞬いて首をわずかに傾ける。

「俺はね、シズちゃん。直接手を下すのは好きじゃないんだよ。直接手を出したら意味がないんだ」
「……意味がわからねぇし、わかりたくもねぇな」
「シズちゃんはそうだろうねぇ」

君は根は優しいもんねと言って、臨也は浮かべる笑みの種類を変えた。
ふんわりと柔らかなそれに、つい見入る。
滅多に…というかまず見せない優しい微笑みを浮かべた臨也は、いまだ捕らわれたままの指先にきゅっと力を入れて俺の手を握った。

「俺はそんな君だから、君がいいんだよ」

俺の手を引いて自分の頬に寄せて、ぺたりとくっつく。
何度も頬ずりして満足げな表情を浮かべて。

「思い通りにならないから、いいのかな」

どうなんだろ、と首を傾げる臨也は警戒心のない無邪気な顔を見せている。もそりと動いて空いている方の手を伸ばしてきて。されるがまま任せていれば、頬を撫でられた。

「シズちゃん、俺さ」
「…なんだ」
「シズちゃんのこと、殺したいほど嫌いだけど、殺したいくらい好きだよ」
「……お前な」

物騒な愛の告白に軽く睨めば、ふにゃりと力の抜けた笑み。

「好きだよ、シズちゃん」

今日はどうしたことか大盤振る舞いであるらしい。
応えてキスをひとつ額にしてやれば、もっととねだられた。
望まれるまま何度か繰り返して、握られていない方の手で髪を撫でてやる。
そうやってしばらくお互い似合いもしない甘ったるい空気を堪能して。
唐突にするりと離された手に首を傾げた。

「シズちゃん」
「おう」

臨也は、はふ、と小さくため息をつく。
俺の目を見つめてくる独特の色彩の瞳がすっと眇められた。

「…なんで君は俺だけのものじゃないんだろうね」

そんなことを不満げに呟く相手をかわいいと思うあたり。
どうやら俺も相当末期症状であるらしい。












※両思いなのにどこか片思いな二人。ようは思考が噛み合っていないのです。