難しい年頃なのです
※小話強化月間7本目。幼馴染中学生シズ→イザ。

















それは、静雄が臨也の家に遊びに行った時のことだ。
「俺これからお風呂入ってくるけど、シズちゃんはどうする?」
そう訊かれて、静雄は本から顔を上げ、きょとんとして臨也を見た。
「どうって、何がだ?」
「ん?一緒に入るかってこと?」

……。

「はぁ!?」
驚いてうっかり借りた本を取り落としたが、今はそれどころじゃない。
「な、なに言ってんだ手前!?」
「えー?君こそ何いってんの?ついこの前まで一緒に入ってたじゃないか」
「そ、れは!小学生の時のことだろうがっ!」
「今だって大差ないじゃん」
何が嫌なんだ?と首を傾げる臨也に思わず頭を抱えたくなった。
確かに小学生の時は一緒に入ってたさ!でもなッ今はもう絶対無理なんだよっ!
そう心の中で叫んで、唸る。
静雄は臨也が好きだ。そう自覚したのはつい最近だが、自覚した途端臨也の裸を直視など出来なくなってしまった。したら確実にやばい。自分の理性にあまり自信があるとは言えない静雄は、ひたすら得意でもない数式を頭に浮かべて気を逸らすという作業をすでに何度となくしているほどなのだ。
「…とにかく、俺は入らねぇから、手前はさっさと入ってこい」
「えー」
「何がえーなんだ。手前は一人で風呂も入れねぇガキか」
「シズちゃんのケチ」
「ケチじゃねぇ…」
脱力しつつ言えば、どうやら諦めたらしく臨也は溜息を吐いて行ってくると口にする。
まだ未練がましい視線を送ってくるのを無視していると、ついに完全に諦めた彼はおとなしく部屋を出ていった。
足音が遠ざかるのを確認して。
静雄は、先の臨也とは比べものにならない大きな大きな溜息をつく。
「…あー…ホント、少しは察しろよ頼むから」
実際に察されたら困るくせにそう呟いて、静雄は自身のやっかいな恋心に悩むのだった。

まだまだ当分、静雄の苦悩の日々は続きそうである。












※実は臨也も静雄を好きという裏話。誘惑は失敗です(笑)