けもみみパラレル
※タイトルどおり、シズちゃんと臨也に獣耳がついてるパラレルです。イロモノです。苦手な人は注意。

>DRRR!!世界だけどみんな動物の耳と尻尾がついてるよ。
>同性婚が普通に認められてるよ。
>静雄と臨也は高校生だよ!
>そんなどうしようもないトンデモ設定パラレルでも大丈夫という心の広い方だけレッツスクロール!































折原臨也、17歳、猫族、オス。
平和島静雄、17歳、狼族、オス。
彼らは犬猿の仲(狼と猫だが)のはずだった。









「臨也」

天敵に珍しくも比較的穏やかに声を掛けられ、臨也は首を傾げた。
本日は快晴。臨也は学校の屋上で午後の日向ぼっこを楽しんでいたところだ。
あまりに心地良い陽気に誘われて、猫の耳と尻尾を持つ猫族である彼は本能の望むまま、日課である企みよりも日向ぼっこを優先していた。
よって、今日はまだ静雄にちょっかいも出していない。

「何かなシズちゃん?今日は物投げないんだ珍しいね」

首を傾げたまま、用件はなに?と問うと、静雄の頭上で三角の耳が少し伏せた。
それを見て、臨也はおやとますます首を捻る。

静雄の属するイヌ科も臨也の属するネコ科も、基本的に耳は感情が顕著に現れる箇所だ。尻尾同様に意識では若干制御しきれぬそれは相手に明確に意思を伝えてしまう…もっとも、臨也は長い時間をかけてある程度コントロールする術を身に着けているが。

よく見れば、静雄のふさふさとしたこげ茶の尻尾も戸惑いを示す具合で揺れている。

「シズちゃん?」

臨也はなにも言わない静雄を促すように声をかけた。
対する静雄は視線は臨也から外さぬまま、ゆらりと尾を動かす。
沈黙が暫く続く。
そして、ようやく意を決したのか、静雄は口を開いた。



「俺と結婚してくれ」



時が止まった。
そう錯覚するほど見事に臨也の全身の動きは止まっていた。

「………」

え、なに?今なんて言われたの俺?頭の中はそんな疑問に埋め尽くされている。
何のリアクションも起こさない臨也に焦れたのか、静雄は低く唸り声を上げて威嚇した。真横に寝てしまった耳、さらに尻尾の毛も逆立っているので苛立ちは直ぐに見て取れる。

「聞いてんのか手前」
「え、あ…うん。聞いてたけど、それ何の冗談?」
「冗談じゃねぇ」

きっぱりはっきり告げられて、臨也はようやく正気に返った。ありえねぇ!と心の中で否定する。

「いやいやいやいや!俺と君って犬猿の仲って言うか、ハブとマングースって言うか、そういう仲だよね!?」
「そうだな」
「じゃあ何でそういう結論になるのさ!」

臨也の言葉は肯定するのに先程の結婚云々の発言は取り消さない相手に、臨也は盛大に尾を膨らませて怒鳴った。
もうポーカーフェイス…実際は耳と尻尾だが…で感情を誤魔化すとかそういう次元ではない。心のままに叫ばずにはいられなかった。
そんな臨也に煩そうな顔をした静雄は、やはり不機嫌に唸って口を開く。

「…手前がほかの奴と話してたり触られてんの見るとムカつくんだよ。で、一晩考えて決めた」
どんな理屈ですかそれ、とんだ独占欲だね。と、臨也はがくりと脱力した。
「うん。ならもう一晩かけて頭を冷やしてくるといいと思うよ」
馬鹿馬鹿しいと断じて聞かなかったことにするために屋上から下りようと歩き出す。が、腕をつかまれて阻まれた。

「ちょっと、なにするのさ」
「煩ぇ黙れ。俺はもう決めたんだよ」

文句を言う臨也に、静雄は顔を寄せ真剣な表情のまま宣言する。

「ぜってぇ手前を俺のもんにするってな」

獲物を狙う野生動物の目に、臨也は全身が震えるのを感じた。
何でそんなことを言うのだ。と萎れそうになる尾を無理やり奮い立たせる。
そして、ずっと隠し続けてきた本心を暴かれるのではないかという恐怖を振り払うように、相手を睨みつけた。

「馬鹿じゃないの!?ッて言うか馬鹿だよね!?死んでよ今すぐ!!」
「手前が死ね。あ、いや…違うな」

かぷりと耳に噛み付かれて、臨也の身体がその感覚に戦慄く。

「ちょっ、なにしてんの!?」
「うるへぇ」
「耳齧りながら喋んな!!」

薄く柔らかな猫耳を、丹念に舐められてぞくりと背筋が震えた。
指先が耳の付け根をなぞっていく。

「ちょっとっ…わかってんの!?耳に触るのはッ」
「求愛だろ?わかってやってんだよ」

言葉よりも直接的な求愛行動に、さすがの臨也も静雄の本気を悟らざるを得ない。
何度も性感帯であるそれを甘噛みされて足に力が入らなくなってくる。
求愛以外で触れればただのセクハラだが静雄の行為は明らかに真剣な求愛行動であり、それ故に臨也はひどく狼狽していた。
そうされるの自体は別に静雄が初めてではない。能力で他種族に劣ることが多い猫族とはいえ、かなりの高水準の容姿を持つ臨也はオスメス問わずかなりの数の相手から求愛されてきた。だが、普通はここまではしない。せいぜいが軽く耳に触れる程度だ。それだって臨也は跳ね除けてきた。だというのに。

「返事、聞かせろよ」

噛まれたままの耳元で囁かれる低音に、臨也は唸る。この男に翻弄される自分に腹が立って仕方なかった。
ああクソッ、そこまで言うならもう知らないからな!そう心中で叫び行動に出た。

「こ、の…っ!」

噛み付く犬歯がわずかに緩んだ瞬間を狙ってまず耳を逃がす。牙に当たって痛みが走るがそれは無視だ。
そのまま、臨也は静雄の耳に食いついた。がつりと歯が当たるが気にせず食い締める。
もっとも、猫のものよりも分厚く被毛も多いイヌ科の耳は、臨也の小さな牙では大したダメージも与えられなかったが。
すぐに顎が疲れて臨也はこげ茶の犬耳…狼だが…を吐き出す。

「…手前な」
「うるさい。これでいいんだろう?文句は受け付けないよ」

耳に触れる求愛に応じる場合、同じように耳に触れて返答とするのが慣わしだ。噛み付かれたのだから噛み付き返すのもその延長で許されるだろう。
もこもこと柔らかい狼の耳を引っ張って、臨也は不愉快そうに眉根を寄せる。

「犬くさい。最悪」

ぺっと口の中に入った毛を吐き出し文句を言う臨也に、静雄は仕方ねぇな手前はと笑いながら唇を寄せた。












※ただシズちゃんに臨也のぬこみみを齧らせたかっただけ。以上。