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※匿名さまリクエスト「シズイザですれ違いの喧嘩→ハッピーエンド」
続き物。




















じわりじわりと、浸食する。
蝕むようなその感情が寂しさだと、臨也は理解していた。

「シズちゃんに、会いたいな」
「会いに行けばいいじゃない」
「それができればこんなとこで腐ってないよ」

静雄と喧嘩をした。それ自体はあまりにも頻繁すぎるので珍しくもない。だが、今回は。

「…このままだと長引きそうなんだよね」
「あら、いつものことじゃない」
「……波江さん、それは誤解だよ」
「そうかしら?」

前回も長かったと思うのだけど、と言う秘書が書類をしまう後ろ姿を眺めながら、臨也は大きく溜息をついた。
喧嘩は、些細なことがきっかけだった。
ほんの少し意志の疎通がうまくいかなかっただけだ。だが、今回はそれが酷く腹立たしく思えてしまって。

「…まあ、今更か…」

実は家に来る前にちょっと女の子と話してたという情報を手に入れてムカつきました、とか。実はその八つ当たりだったんです、とか。そんな裏事情を臨也が言えるわけがない。
それに、

「それで気にしてもらえなかったら、惨めじゃないか」

呟く臨也の横顔を眺めて。
波江はなぜそれほど自信がもてないのだ、と溜息をつく。

「貴方たち、本当に馬鹿ね」

手を伸ばせば届く位置にいるのに、お互いが見えていない二人。
馬鹿馬鹿しいわと呟いて、波江は書類の整理に戻った。
そして、程なく。
ろくに仕事もせずに鬱々と鬱陶しい空気を撒き散らす上司の姿に辟易して、さっさと彼の片割れがここを訪れればいいのに、と思ったのだった。












※臨也さんと波江さん。