カウントダウン 1
※2010年クリスマス企画。吸血鬼パロ設定。











今日はクリスマスイブだね。
そう言った臨也に、静雄はそうだなと返す。
臨也にせよ静雄にせよ、クリスマスだからどうだというタイプではない。それなりに楽しみはするが、そのために真剣に準備をしたりするようなことはなかった。
そもそも、ハロウィンならともかくクリスマスと吸血鬼では組み合わせとして変だろう。
ま、ささやかに二人でケーキを食うぐらいがちょうどいい、と静雄は思う。そして、ついついそのまま物思いに耽ってしまい、

「ねぇシズちゃん、聞いてるの?」

臨也の不満そうな声にはっと気付いた時には既に遅かった。
ぷう、と頬を膨らませる臨也は、明らかに拗ねている。
構ってもらえないだけですぐこれだ。
ガキみたいなヤツだな、と静雄は苦笑するしかない。
じっとりと睨みつけてくる目に仕方ねぇなと呟いて。
静雄は臨也に向かって手を伸ばした。
そのまま、腕を掴んで引っ張って。押し倒して唇を奪う。

「ん、ふっ、ぅ…」

口を塞がれて抗議の言葉を出せず、代わりとばかりに背を叩いてくるのは無視した。
どうせ大して効果はない。
大人しくなるまでじっくり臨也の口内を味わって、静雄はようやく唇を離した。
はっと息を吐き出して。
臨也は潤んだ目で静雄を睨みつけてくる。

「…これ以上したら、クリスマスプレゼントあげないよ」
「…………」

どんな脅し文句だ。
そう静雄は呆れた視線を臨也に送る。
もちろん臨也が用意してくれたらしいプレゼントには大いに興味があるが、それよりも目の前の存在の方が魅力的だというのに。

「ちょっ、シズちゃん!」
「あー、うるせぇ分かった。しねぇから喚くな」

押し倒していた細身を抱き上げて、膝の上に乗せて。
静雄は愛しい吸血鬼に囁きかける。

「俺も手前にプレゼント用意しているからよ。拗ねられても困るし、まあ、今日は諦めてやる」
「………今日はって部分が、すごく不穏だ」
「うるせぇ。それくらいは我慢しろ、手前が可愛すぎるのがいけねぇんだからよ」
「…………」

今日は大人しくお預けされてやるんだからこれくらいは勘弁しろ。
そう言って臨也の背を撫でる静雄に。
臨也はむうと眉間に皺を寄せて、それから「仕方ないなぁシズちゃんは」と笑った。
仕方ないのは手前だろうが、とは口にせず。静雄は甘ったれな吸血鬼の気が済むまで、構ってやることに専念した。












※1日前。