カウントダウン 2
※2010年クリスマス企画。クロネコ設定。











毛並みを梳く優しい手の感触に満足げにのどを鳴らして。
黒猫――臨也はうっすらと目を開けた。
「目ぇ醒めたか?」
問われて小さく頷いて、欠伸を一つして静雄を見る。

「おかえりシズちゃん」
「おう、ただいま」
「もう夜?」
「いや、まだ夕方だ」

そう言って、臨也の頭を撫でて。
静雄が問いかけてきた。

「今日は一日寝てたのか?」
「ん、違うよー。今日は外にも出かけた」
「何かあったのか?」
「ないよ。ただの散歩…なぁにシズちゃん?心配してくれるの?」
「当たり前だろうが」

嬉しいことを言ってくれるんだから。
くすりと笑って、臨也は身を起こして、姿を猫から人型へと変える。
そのまま静雄の首に手を回して緩く抱き締めて。
臨也は「シズちゃん大好き」と口にする。
長いしっぽに静雄の手が伸びるが、今日は特別に逃げないでおいてやろう。そう考えて、しっぽを捕まえた手がその毛並みを撫でるのを感じながら。
臨也はくるると小さくのどを鳴らした。

「まだ眠いのか?」

とろんとしたままの目に静雄がそう問うと、こくりと頷く。

「うん。まだ少し眠い」
「少しなら寝てもいいぞ」
「ひざまくら」
「………分かった。少しだけだからな?」
「うん」

首に回した腕を解いて、こてんと静雄の足に頭を乗せて。
臨也は満足げに目を細めた。

「俺、シズちゃんのこと大好きだよ」
「主に膝枕とかが?」
「違うもん。ちゃんとシズちゃん本体が好きなの」
「…そりゃ、ありがとよ」
「うん」

黒い猫耳の付いた頭を撫でる静雄の手。
その心地よさに目を閉じながら、臨也は何度聞いても嬉しい言葉を聞きたくて言う。

「シズちゃんは?」
「あ?」
「シズちゃんは俺のこと、好き?」
「…好きに決まってんだろうが」

その返答に今度こそ本当に満足する。
そして。
静雄が明日どのタイミングでプレゼントを贈ろうかと悩んでいることなど知りもせず。
黒猫は人型のまま静雄の膝枕を堪能するのだった。












※2日前。