カウントダウン 5
※2010年クリスマス企画。『嘘つきの恋』設定。











俺、平和島静雄はそれなりに幸せな毎日を送っていると自覚している。
まあ、借金はあいもかわらず微々たる金額しか減っちゃいないが、それは頑張って返す予定だ。
今日は仕事がはやく終わったので、俺が食事を作って、一人だとすぐ疎かにする家主兼恋人に食わせた。

「しーずちゃん、片づけ終わった?」

リビングから声をかけてくるそいつに、もう少し待てと返事をして。
俺はさっさと片づけを終わらせるべく手を動かす。
片づけくらいするよと言うのをいいからと断った以上、臨也がするよりもきれいにするくらいの気持ちでいた。
納得いくまで――それこそシンクまでピカピカにして。
俺はふと見た時計で先程臨也に声をかけられてからずいぶん経ったのだと知る。

「やべ」

わがままな家主様…もとい臨也は、すねるとなだめるのが大変なのだ。

「臨也、悪ぃ。遅くなった」
「遅い!」

リビングに足を進め、臨也にそう声をかけるとやはり文句を言われる。だが、思ったほど機嫌は悪くなさそうなので正直安心した。

「…?なにしてんだ?」
珍しく仕事用でないノートパソコンをローテーブルに置いている臨也に訊く。
すると。
「あ、そうそう。ねぇシズちゃん、これなんてどう?」
そう言ってパソコンの画面を俺に向けてくる。

「?」

なんだ?と向けられたそれをのぞき込めば。
そこにはソファの写真が映っていた。何かのカタログらしいと判じて、それから臨也の視線に促されるままじっくりと見る。俺にあまり家具を見る目があるとは思えないが、悪くないとも思う。デザイン的には結構好みだ。

「いいんじゃねぇか?」
「うん、分かった。じゃあこれにしよう」
「買うのか?」
「そうだよ。そろそろ新調したかったしさ」
「ふぅん」
「あ、そうだシズちゃん。クリスマスイブは何か予定はあるかい?」
「いや、その日は…夕方以降は空けてもらってる」

いや、別に臨也にも予定があるだろうし。別に一緒にいたいとか思ったわけじゃ…いや、なくはないけどな。
そうしどろもどろに言い訳する俺に。
臨也はくすくす笑って頭を撫でてきた。
犬扱いのそれにそれほど不満はないが、できれば恋人扱いしてほしいシーンだったな、と思う。

「良かった。俺も夜は仕事はお休みにしたからさ」

柔らかな笑みを浮かべて、臨也が手招きする。
応えてさらに顔を近づければ、唇に触れるだけのキス。
音すら立てず離れたそれを名残惜しそうに見ていたのに気づいたのだろう。
臨也は仕方ないなぁシズちゃんは、と言って手を伸ばしてきた。
首に手を回されて抱き締められて。
ちゃんとプレゼントも用意したからね、と耳元で囁かれて。
俺はそのまま耳朶を甘噛みするそいつを抱き上げて、リビングを後にした。

後のことは…まあ、想像にお任せする。












※5日前。