カウントダウン 8
※2010年クリスマス企画。同居パラレル設定。











それは、夕食後、二人でテレビを見ていた時のことだった。
「シズちゃんって、今年のクリスマスなんか用事ないの?」
そう聞いた臨也に他意はない。
聞いた静雄もそこに何かを感じたりはしなかった。だから。
「あー…そう言えば、会社でなんかやるって言ってたような…?」
と、答えて、手前は何かねぇのかよ?と逆に問う。

「うーん…別に俺クリスチャンでもないしねぇ。あ、でも便乗してターキーくらいは買うけど」
「…チキンじゃねぇのか?」
「ははっ、まあふつうのご家庭ならそうかもね。俺はその年の気分次第」

会社で何かって言うなら、シズちゃんの分は取って置いてあげてもいいよ?
そう言った臨也に、静雄は数秒考えて。
それから首を振った。

「いや、やっぱ飯は戻って食う」
「おや、先輩とかはいいのかい?」
「……手前の飯は冷めてもうまいけど、やっぱ作りたてが一番うまいんだよ。だから、帰る」
「………」

静雄の言葉に、臨也はきょとんと目を丸くする。
何度か瞬いて、でもまだ無言でいる臨也に。
静雄は首を傾げた。

「…どうかしたか?」

おい?と顔を覗き込まれて、ああうん何でもないよと返す彼は、だがどこか変だ。
うっわ、と小さく呟いて。ふるふると頭を振って。
それから、ようやく普通に声を出す。

「シズちゃん、君の発言は時々心臓に悪いよ」
「は?」
「ううん。こっちの話…。じゃあ、クリスマスは、ごちそう作って君の帰りを待ってるよ」
「おう。うまいもんよろしくな」
「はいはい」

静雄の言葉に頷いて。
静雄の視線がテレビに戻ったことを確認して。
臨也ははぁと息を吐き出す。

「…ああもう、シズちゃんって絶対天然タラシだ」

俺が女の子だったら惚れちゃってたかも。
そう聞こえぬように呟きながら、臨也は妙に火照った頬を手で覆うのだった。












※8日前。