カウントダウン 9
※2010年クリスマス企画。けもみみパラレル設定。











「うーん…」
あれこれといろいろ手にとってはためつすがめつする新羅を横目に。
臨也はぼんやりと目の前のものを眺めていた。
ゆらりとしっぽを揺らめかせて、欠伸を一つ。

「…ねえ臨也。君もちょっとは考えなよ」
「別にいいよ。面倒だし」
「…君ねぇ」

手に持ったマグカップを置いて。
新羅は盛大に溜息をついて天を仰いだ。
もともとさして乗り気でない臨也を連れてきた自覚はあるが、もう少しマシな反応を期待していただけにちょっと寂しい。

「ほら、これなんかどうだい?」
「いや、お揃いとかありえないだろ」

ほらと差し出されたものから視線を逸らして。
臨也は耳をわずかに寝かせて、不満そうな顔をした。

「じゃあ、」
「いいから。君は君の大事な首なしの分を探してきなよ」

そう言って、ふらりと歩いていってしまう猫族の背中を眺め、新羅は静雄もかわいそうに、と息を吐く。
新羅が静雄に臨也に贈るプレゼントのことで相談されたのは一ヶ月も前だというのに。
その相手には全くその気はないらしい。

「まあ、とりあえずセルティへのプレゼントを先に考えるか…」

そう呟いて。
新羅は臨也のことはしばらく放っておくことにした。



そして、帰り道。

「あれ?結局買ったの?」

にやにや笑ってそう言った新羅に、臨也はばつの悪そうな顔をして目を逸らすが。
誤魔化そうにも、大事そうに抱えた店の袋がすべてを物語ってしまっていた。
何を買ったんだい?と問う新羅に臨也は君こそ何を買ったんだと返して。
それから、言い訳のように、ちっとも素直でない言葉を口にする。

「だって、シズちゃん絶対プレゼント用意してる気がするし、貰うだけとかなんか癪だし」

うっすらと頬を染めて言う彼が予想外に可愛く思えてしまって。
新羅は、いつもこうだったらいいのにねぇと微笑ましい気持ちになったのだった。












※9日前。